最近のテーマが「考える力、思考力を伸ばす」です。
私はアイディアなど発想に関しては得意だと思っていますが、何かを論理的に考えたり、深く考えるというのがイマイチです。
「深く考える力」著者:田坂広志 からどんなことが学べたのか?
この本は、ビジネス本というより、エッセイに近い形になっています。
田坂氏が、考えることのポイントを5つの技法とエッセイという形をとり、色んな例を通して紹介しています。
新たな発想、深い思考はどこからくるか?
著者の伝えたいことは、「賢明なもうひとりの自分」です。
自分の内には、もうひとりの自分がいて、そのことを「賢明なもうひとりの自分」と呼んでいます。そのもうひとりの自分が深く考える力を持っている。
いわゆるハイヤーセルフと呼ばれるものと同じで、無意識の自分が膨大な記憶、直感にアクセスできるというと同じ。
そのもうひとりの自分に繋がる方法
こころの5つの技法
- 自分の考えを「文章」にして表してみること
- 異質なアイディアを結びつけてみる
- 自分自身に問いを投げかける
- 問を忘れる
- 自分自身を追い詰める
上記の5つのポイントが挙げられています。
特に文章を書くということで、どんな効果があるのか、その説明が面白かったです。
それは
文章を書いたあと、読み返すとき、もうひとりの自分からの示唆を感じ取るということ。
自分の文章を読み返すときに、こうしたほうが良い、こういう展開が良いと頭で思ったことは、もうひとりの自分なんですね。
さらに、自分のアイディアを出し切って、空ににする。そうしたときに、閃きが得られる。
ポイントは、自分の持っているアイディアが全てではないことを自覚する。そうしないと空になったところに新たなものを受け取れない。自己制限を解除が必要。
新しい考えが入ってくる場所を開けておくというのは、断捨離に似ていますね。不要なものを捨てることで、新しいものが入ってくる。
新しいものが入ってくるために、古いものを捨てて場所を開ける。
今まで、アイディアを出すときに苦労していたことは、思いついた考えに偏りがあり、いくつも出すと、同じような内容になってしまうこと。
考えの幅が狭いのが悩みでした。
異質なアイディアを結びつけるというのをやってみると、いつもと違う考え、キーワードになり新鮮なアイディア、考えになりました。
古典を読むときの落とし穴
あえて一つ章を選ぶとすると、「古典を読むときの落とし穴」です。
教養を身に着けたい人は古典を読むべし!と良く聞きますが、なぜ古典を読んでも人間力が身につかないかがここに書いてありました。
古典には2種類の言葉がある
- 理想的人間像を語る言葉
- 具体的修行法を語る言葉
1つは、優れ得た人間が、自身が登り到った高き山頂を指し示し、「この頂に登るべし」と語る言葉。
2つは、心の弱さを抱えながらも、そして、遅き歩みながらも、高き山頂をめざして一歩一歩登っていく人間が語る、「未熟な人間でも、このような心の置所を大切に歩めば、少しずつでも登っていけるのではないか」との言葉。
どちらが人間力を身につけるのに有効か、後者です。
経営者が、社員教育の要諦を聞かれ、「社員を愛すること」と答えた、それは前者で、山の頂きを指し示すだけ。
それに対して、中管理職の人の言葉は、「要領の悪い部下に苛立ちますが、一晩経って、上司、部下になったのも何かの縁、自分も覚えの悪い部下だったなと、もう少し部下のために頑張ってみようと思う」
後者の中間管理職の方が、未熟な人の参考になります。優れた古典には著者が未熟さを抱え、人間として成長する話があります。
「歎異抄」「正法眼蔵随聞記」この2つは弟子が、師の思想を体得するため悪戦苦闘し、その道程が書いてある。
その過程が我々にとって重要だということです。
古典を読んで、人間として成長するためには、主人公が悪戦苦闘の中、壁を乗り越えたとき、主人公の精神的な成長を自分にも置き換えてみる。
自分も一歩一歩と、成長する勇気をもらえることが大切なんだと思いました。